PhaseOne

今回は、先日行った新しい撮影素材の実験について書こうと思います。

試したのは“無反射ガラス”というモノです。

先日、某カメラショップで商品を物色していたら、レフ板の下に埋もれているのを発見しました（笑）。恐らく長い間売れ残っていたのでしょう。
この無反射ガラス、通常のガラスよりも光の反射を抑えることができるそうで、撮影に使われているのを本で見たことがありますが、実物を見たことはありませんでした。
元々買う予定はなかったのですが、新しい写真表現に生かせるかもしれないと思い、試しに購入してみました。ちなみにサイズは356×280mm、価格は3000円弱でした。高いのか安いのかは分かりません（笑）。

箱から出してみると、やや曇ったすりガラスのような感じでした。
そうか、このサラサラした感じが光を拡散させて反射を抑えるんだな・・・などと考えながら、とりあえず以前本で見たセッティングを記憶を頼りに再現してみます。

確かこんな感じだったはず・・・。

つまり、背景となる被写体の上にガラスを置き、さらにその上に被写体を置いて、合成のような写真を撮ろうという訳です。
今回は単なる実験なので、被写体はとりあえずダミーカートをメインにし、ガラスの下に1911を置いてみました。ライティングは適当です。
で、まずは斜め横から撮影しましたが・・・。

あれ？けっこう光反射してる・・・。
商品名に“無反射”って書いてあったのは私の目の錯覚？

実はその後の調べで分かったのですが、このガラスは本来こういった用途に用いるものではなく、印刷物を複写する際や、絵画等の額に用いるものだそうです。また、まったく反射を防げるわけでもないようです。“無反射”という名前は誤解を招きますね（笑）。
実は私も完全に反射が防げるとは思ってはいませんでしたが、表面はもうちょっとクリアな感じで写るのではないかと思っていました。多分、自分の中ではＰＬフィルターを使ったようなクリアな描写を想像していたんだと思います。（ちなみにＰＬフィルターというのは、被写体表面の反射を除去することができるレンズ用のフィルターの事です）
通常のガラスと撮り比べたわけではないので正確な所は分かりませんが、これでも普通のガラスよりは反射が抑えられているのかもしれません。

ひょっとしたら角度がまずかったのかな？と思い、そういえば以前見た本では真上から撮っていたような気がしたので、セッティングを変えて今度は真上から撮ってみました。
それが記事の冒頭でも使ったこの写真です。

先程よりは反射が目立たなくなりました。が、単に照明との角度的な問題なのかもしれません。それにしても、本当に合成っぽく見えますね・・・。
背景に関しては、やはりすりガラスのようにザラついて見えてしまいます。本来は背景に密着させて使うもので、印刷物のように平面の物ならクリアに見えるようですが、立体物はそうもいきません。初めから背景をぼかすことを前提に使うならいいのですが、クリアに見せたい時は通常のガラスを使う方が良さそうです。

よく調べないで買ったのでちょっと想定外の結果になってしまいました。今後の撮影に生かせるかどうかは分かりませんが、一つ勉強にはなりました。とりあえず、「無反射ガラスは完全に無反射ではない」ということは分かりましたし（笑）。“無反射ガラス”だと誤解を招きそうなので“低反射ガラス”という名前の方がいいような気もしますけどね。

※この実験の後で、実際に低反射ガラスという物がある事を知りました。サラサラした表面で光を拡散させる無反射ガラスに対し、低反射ガラスは何層にもコーティングを施して反射を防ぐんだそうです。こちらは背後もクリアに見えるそうですが、コーティングの分、価格は高くなるそうです。勉強になるなぁ・・・。

ガラスとは関係ありませんが、もう一つ教訓としては、こういった撮影では撮影台をきちんと水平にしておかないと、カートが転がってしまって撮影に集中できない・・・ということですかね。当たり前ですが（笑）。粘土のようなもので固定する方法もありますが、何事も一つ一つきちんとやるのが大事ですしね。